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10代の地図帳

志尊 淳 さん(俳 優)

 俳優・志尊淳さん(23)。いまをトキメく芸能界の若きアイコンの一人だ。テレビドラマ、舞台、映画に、活躍を続ける駿才の次なる舞台は、映画『走れ!T校バスケット部』。いわずと知れた青春小説の佳作との融合となる。やんちゃだった少年時代、白球を追った青春のころ……、十代の軌跡を訊いた。

 どんな少年時代を

 もう超やんちゃ坊主で。あとで両親から「相当手を焼いた」と聞かされました。親たちは、「そんなにエネルギーが余ってるんなら、とにかくやりたいスポーツを全部やらせよう」と考えたようで、剣道、野球、サッカー、水泳……、と沢山やらせてくれました。

その頃はどんな遊びを

 毎日、街に夕暮れのチャイムが響くまで、泥んこになって遊んでいました。テレビゲームとかは一切しませんでしたね。いわゆる〝家遊び〟はあまり好きじゃなくて。テレビゲームをしている子がいれば、みんな外に連れ出して鬼ごっこをしたり……。そういうことばかりしていました。

中学時代の思い出は

 中学は野球部に所属しました。そのころの夢はプロ野球選手になることで、土ぼこりの舞うグラウンドで、一生懸命白球を追いました。でもあるとき、プロを目指すのと、学生レベルでの活躍の違いにふと気づいて。抽象的だった目標が、次第に現実的になっていく中で、「いまのままじゃ到底プロになれない」と思った。それで諦めて……

白球の夢破れ、次の目標は

 目指すべき目標が見つからないでいたとき、芸能事務所の方々にスカウトされたんです。でもそれで、じゃあ芸能事務所に入ろう、という気にはならなかった。芸能界を知らないし、やっぱり怖い……。なにより、自分に何も能力がないまま入るのは、社会人として筋が通っていないと思った。で、可能性があるならば、まず養成所に通わせてほしいと申し出たんです。それで15のとき養成所に通うことになった。

スカウトされたときの心境は

 「まさか自分が」ですよね。そんなの絶対あり得ないと思っていたので。当時、それまで東京の、いわゆる栄えているところにはあまり行かなかったんです。で、行ったときにスカウトされる機会が増えて。「やっぱり渋谷、原宿では一杯スカウトしてるんだなあ」なんて感心して名刺の裏側を見たら、沢山の知った名前があった。俳優、女優、タレント……、並んだ印字一つひとつが輝いて見えた。

ご両親に相談は

 それはもちろんしました。二人とも最初は、「まさか」という反応でしたけど、僕の本気の様子を見ると、「淳が本気なら」と認めてくれた。昔から僕は、何か一つこうと決めたら、それに対して探求してトコトン突き詰めたい性格なんです。一たび扉を開いて一歩足を踏み出したからには、しっかりと自分なりに歩いていきたい——、僕の眼のなかの「やる」という決意を両親読み取ったんだと思います。

芸能界に入った決め手は

 大きな理由があったわけではないです。とにかくそのとき特にこれという目標がなくて……、そんなとき、ちょっと興味惹かれるものが出て、みたいな感じでした。

それで芸能を志して

 それは、実はいまも具体的にこうなりたいというビジョンは決めてないんです。予め先を見据えて進むよりも、いまを大切にしたいと思うタイプの人間なので。いまを大事にし続ける中で、いろんな出会いや巡り合わせがあって、こういうお仕事をさせていただいています。
 常に自分に正直に生きていきたいので、これからも、いろんな可能性があるかもしれません。

芸能活動に充実感は

 最初は責任ばかり感じてしまって、なかなか「楽しい」と言えなかった。でも、何かきっかけとかハッキリあったわけじゃないですけど、だんだんこの仕事が楽しいと感じることが増えていきました。

学業との両立に苦労は

 苦労というか〝大変さ〟というのはどの仕事にも付きまとうことだと思います。そういうものと向き合うとき、「大変だから辞める」という選択肢はやっぱりないですね。「その大変さをどう乗り越える」というところにベクトルを合わせて、いつも向かっていっています。

学校生活の思い出は

 芸能活動をはじめてから、どうしても友達との距離感が変わるのを感じることもありました。「テレビ出てるんだろ」と、遠巻きに態度を変える視線に、僕は何も変わってないのに……、って下を向く。辛くなかったといえば嘘になります。けど、そういう中でも、以前と変わらずに接してくれる友達もいて。嬉しかったですね。その交友関係はいまも続いています。

デビュー後、ご家族の反応は

 家族はもうすごく応援してくれてますね。「生き甲斐」って言ってくれて。いまのことを「夢のような時間」だって……。かといって「ずっと続けなさい」とかはまったくなくて、いつも肩をそっと叩いて「いつでも帰ってきなさい」と言われる。だからなんか気が楽ですね。できるときにやれることをやりたいな、と思っています。

俳優のほかに何か興味は

 いまは特にないですね。生活のほとんどが役者の時間なので。もちろん、趣味や人生経験として、それがあれば役者としての力になるとは思いますけど。強いて言うなら……、寝ること(笑)。やっぱり疲れますからね。役者の仕事って、エネルギーを使うんですよ。単純な体力面を含め、いろんな部分の力をフル稼働する。だから身体を持て余すとか、そういう余地は一切ないですね。

仕事のためどんな努力を

 健康管理、それに身体づくりですね。自分の身体がどこのラインを超えたら体調を悪くする、というのは感覚的に把握している。それを微調整しながら、出演する作品の役柄に応じて、やせたり、太ったりというのをしてるので。それ以外はなるべくフラットでいたいな、と思ってます。

体重調整に難しさは

 最初はやっぱり大変でしたけど、それが仕事なので。ボクサーと一緒ですよね。減量しないと試合が始まらない。そういう感覚でやってます。誰の管理やアドバイスをもらっているわけでもなく、基本一人でやっています。

『走れ!T校バスケット部』を演じて、感じたことは

 一見すると普通の青春映画なんだけど、実はこの作品はメッセージ性がすごく強くて多い。だから見る側の観点次第で、受け取るメッセージが変わると僕は思っています。その中で僕が印象的なのは、物語終盤、それぞれの道が描かれるんですが、みんながみんなバスケットに進むんじゃないわけです。バスケットを続ける人もいれば、違う選択をする人もいる。それぞれ別の道を選ぶんだけど、糧となっている部分はみんな同じで、高校の部活動なんです。みんなで一丸となって一つの目標に打ち込んだ日々は、絶対に無駄になっていないし、そこからこれからの自分というものも作られてくる……。何かに打ち込んだ日々は、経験としてすごく残るんだな、というのを、この作品を通じて強く感じました。

演じるうえで苦労は

 とにかくバスケットがうまくならないと作品がはじまらないので、そこの重圧はやっぱりありましたね。とにかく、演者各々、できる限りのことはしたんじゃないかと思ってます。

主人公がイジメを受けるシーンから物語は始まりますね

 いまはちょうど世間でイジメ問題が多く取り上げられています。そういう意味では、映画に出てくるイジメも単なる描写でなく、現実に起きていることとして、見る人に受け入れられやすいのではないかと思います。イジメは、受ける側の捉え方次第で、誰しも被害者になる可能性があるものです。そういうときは、逃げたっていいんだ、転校したっていいんだゾ、と。逃げたって何をしたって前を向いてやっていれば、自分が自分でさえい続ければ、周りが支えてくれるし、周りにとって素敵な自分がきっといる——。そう訴えかけるこの作品が示す新しい道に、僕自身も救われたし、いろんなことを考えさせてもらいました。人の人生や教育というのにも働きかける力のある映画だと思うので、ぜひ沢山の人に足を運んでもらえたらと願っています。


しそん じゅん 1995年、東京都生まれ。2011年俳優デビュー。テレビや映画、CMなどを中心に活躍中。『きみはペット』『植木等とのぼせもん』『女子的生活』『半分、青い。』など数々のドラマに出演。『帝一の國』『探偵はBarにいる3』など話題映画にも出演。最新主演映画『走れ!T校バスケット部』が公開中。

 

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